
アコギをやりたいとなった時にアコースティックギターとクラシックギターの違いが気になる人も多いみたいです。
アコースティックギター、アコギ(アコースティックギターの略称)、フォークギター、この3つは同じタイプのギターを指して使ってる人がほとんどでしょう。
クラシックギター(略称はクラギ)はアコギに対して演奏人口が少ないので、ここで初めて知ったという人もいるかもわかりませんね。
アコースティックギター、フォークギター、クラシックギター、この3つは和製英語です。
それぞれ英語では、
アコースティックギター、フォークギター ⇒ Steel-string acoustic guitar
クラシックギター ⇒ Classical Guitar
となっています。
フォークギターというのは楽器メーカーのヤマハが作り出した造語です。
日本人に合わせてヤマハが作ったアコースティックギターを『フォークギター』と命名したのが、現在ではアコギを指す言葉として定着しています。
それでは、アコースティックギターとクラシックギターの違いをいろいろみていきましょう。
この記事の目次
アコースティックギターとクラシックギターの違い
アコースティック・ギターとは?
標準で6本の弦をもち、指で爪弾くフィンガーピッキング、あるいはピックではじくピック奏法で演奏される。弦の振動および音波は楽器本体および本体内の空洞の共鳴を経て奏者や聴客の耳へ届く。Wikipediaより引用
アコースティックギターというのは生音で演奏するギターです。
となると、クラシックギターもナマ音ですからアコースティックギターの仲間なのですが、弾き語りであの歌を歌いたいとか、禁じられた遊びを自分で弾きたいとなると違いが気になってきます。
アコースティックギターとクラシックギターの違いについて、以下に解説していくので参考にしていただけると嬉しいです。
アコースティックギターとクラシックギターの違い一覧
アコースティックギターとクラシックギターの違いを簡単に表にまとめてみました。
アコースティックギター | クラッシックギター | |
音 | キラキラ(金属)音 | 優しくてふくよか |
弦 | スチール | ナイロン |
弦の間隔 | 小さい | 大きい |
演奏姿勢 | 立っても座ってもオッケー | 座って足台を使う |
奏法 | ピック、指弾き | 指弾き |
ネックの幅 | 狭い | 広い |
フレットの幅 | 狭い | 広い |
曲 | 弾き語り、ソロギターなど。 基本的に自由。 |
クラシックギター向けの 曲を演奏する。 |
アコースティックギターとクラシックギターは得意な曲のジャンルが違う
ギターの歴史を調べてみると、クラシックギターはヨーロッパで生まれ、アコースティックギターはクラシックギターの派生という形でアメリカで生まれ進化していったようです。
地域が違えば文化が違うように、アコースティックギターとクラシックギターにはそれぞれが得意とする曲のジャンルがあります。
アコースティックギターが得意な曲のジャンル
金属質のキラキラ音が持ち味のアコースティックギターは、[keikou]コードを押さえてジャカジャカやるスタイルが得意[/keikou]なので、弾き語りの伴奏などに向いています。
昭和のフォークソングはアルペジオやスリーフィンガーピッキングなど、指を使った奏法もいろいろ使われていましたが、平成あたりからは複雑なコードをストロークで弾くというスタイルがほとんどになりました。
同じ弾き語りでも演歌の弾き語りはクラシックギターの分野です。
クラシックギターが得意な曲のジャンル
クラシックギターの演奏材料となるのはその名が示すようにクラシックの曲です。もともとクラシックの曲を弾くために作られたクラシックギターなので当然といえば当然ですね。
[keikou]クラシックギターの曲は楽譜がもうすでにあって、演奏者がその個性で弾き分けています。[/keikou]例えば『愛のロマンス(禁じられた遊び)』という比較的知られたクラシックギターの名曲があります。
いろいろなクラシックギタリストがこの曲を弾いていますが、聞いた感じはそれぞれに違います。この違いが演奏者の個性です。
ふくよかで奥行きのあるクラシックギターのサウンドは感情表現が得意
クラシックギターはギター1本でメロディと伴奏のすべてをこなします。その表現力の多彩さは “小さなオーケストラ” ともいわれています。
男と女の恨みつらみがいっぱいの演歌がクラシックギターと相性ピッタリなのは、この表現力があるからこそなんですね。
クラシックギターは技術的なハードルが高い
ギター1本ですべてを表現するクラシックギターはアコースティックギターに比べて高い技術が要求されます。
クラシックギター独特の演奏テクニックというのもあります。
ここにクラシックギターが敬遠される理由があるとは思うのですが、時間がかかってもマスターしようという気持ちがあれば、クラシックギターを弾きこなすのは難しいことではないと思います。
最近はアコースティックギターとクラシックギターの違いがぼやけてきた?
YouTubeなどを見ているといろいろスタイルで演奏を紹介している人たちがいて、アコースティックギターとクラシックギターがお互いに歩み寄っているような感じがします。 いやいや、これは私がそう感じているだけでもっと前からこの流れはあったのかも知れません。
アコースティックギターでクラシックを弾く
アコギのソロギタリストとして人気の高い南澤大介さんは『ソロ・ギターのしらべ 無上のクラシック・スタンダード篇』という楽譜本を出しています。
アコギでクラシックの名曲を弾くという面白い内容ですが、アマゾンのレビューの中には「スチール弦の響きがしっくりこない。」という意見もあるので、個人の好みもわかれるみたいです。
模範演奏のCDも付属しているので、アコギからクラシックに近づくという意味ではいいかも知れません。
クラシックギターで弾き語りをする
クラシックギターで弾き語りといえば演歌ですが、歌手の長谷川きよしさんは演歌の枠を飛び越えて独自のアレンジで中島みゆきさんの『糸』やミスチルの『イノセントワールド』を見事な歌唱力で歌いこなしています。
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中島みゆきさんの『糸』(1:54)
[/spcol2][spcol2] ミスチルの『イノセントワールド』(0:36)
[/spcol2][/spcolwrap] こういうのを聞いてると、ケースバイケースではありますが、アコースティックギターとクラシックギターの壁を取っ払っちゃってもいいんじゃないかって思っちゃいます。
それくらい長谷川さんとクラシックギターの弾き語りがマッチしています。
ジャズはアコギで弾くか?クラギで弾くか?
エリッククラプトンはピックを使ってクラシックギターでジャズ系の曲を弾いていたりもするので、ジャズプレイヤーはクラシックギターとクラシックギターの境界を感じていないのかも知れません。
ナイロン弦のギターで指弾きでジャズを弾くというプレイヤーもいます。
ボサノヴァもクラシックギターの守備範囲になっていますね。
アコースティックギターか、クラシックギターか、どっち?
ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。
アコースティックギターにするか、クラシックギターにするか、もう決まりましたか?
まだ決め手に欠けているようでしたら、おそらくは心の奥底に「どっちもやりたい!」という気持ちが本当の気持ちとしてあるのではないでしょうか。
もしそうなら、どっちもやってみるのも一つの楽しみ方だと思います。
私の場合は両方やるという選択をしました。
気に入った曲のジャンルで決める
プロフィールにも書いていますが、私はクラシックギターに触れたのが一番早く、ちょっと遅れてフォークソングをやるようになります。
クラシックギターの名曲もある程度は知っていますし、フォークソング全盛時代は中高生だったので名曲といわれる歌もたくさん知っています。
当時ヒットした歌謡曲も演歌も当たり前に流れていたので自然と記憶に刷り込まれています。
数年前のある日のこと…
YouTubeで南澤大介さんの『あの日に帰りたい』の演奏を聞いてガーン!
今年(2018年)に入って長谷川きよしさんの『天城越え』を聞いてガーン!
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南澤大介さんの『あの日に帰りたい』
[/spcol2][spcol2] 長谷川きよしさんの『天城越え』(1:03)
[/spcol2][/spcolwrap]
南澤大介さんの演奏も長谷川きよしさんの演奏も私の心を鷲掴みにしてしまいました。
そして
「どっちもやりたいっ!」
となったのであります。
そんな経緯があってクラシックギターとアコースティックギターの両方をやることに決めます。
これはある瞬間に即決したわけではなくて、いくつかの紆余曲折と時間の流れの中でだんだん決まっていきました。
私としてはクラシックギターのテクでアコギもできるだろうと思っていて、クラシックギターを覚えたら手っ取り早いんじゃないかという計算(ウマいことやろうという打算?)があります。
実際、南澤大介さんの『ソロギターのしらべ』シリーズをクラシックギターで弾いてみて、イケるという確信を感じています。
両方やるという選択もある
迷っているのなら両方やってみるという方向でもいいと思います。
といってもすぐに両方は難しい場合もあるので、優先順位を決めて取り組んでみるという選択もありでしょう。
どっちを優先するか迷ったら、一番好きな曲か弾けるようになりたい曲を選択の基準にするといいでしょう。
その曲に合わせてクラシックギターかアコースティックギターをチョイス、というやり方です。
そこから徐々に広げていったらいいと思います。
自分が楽しいことが基本
楽しいという感覚は何をやっても夢中にさせてくれて、夢中はつらさを乗り越えるパワーをくれます。
夢中の先には上達しかありません。
夢中なら練習は辛くないし、上達する要素しかないですよね。上達というとハードルが高いと感じる人がいるかもしれませんが、練習さえ継続できれば上達は着実にモノにしていくことができます。
マイペースで自分が時間をやりくりできる範囲で進めたらいいと思います。
「自分に合っているのはどっちだろう?」
この気持ちに向き合って自分と相談して、「この曲弾けるようになるかなぁ…」ではなくて「この曲をマスターするぞ!」な気持ちで取り組んでみてください。
自分が投げ出さない限りは必ず弾けるようになると思います。